クマのプーさんとその仲間たち ― 素朴な会話の中には名言がいっぱい!

世界で一番有名なクマと言えば、「くまのプーさん(原題 “Winnie-the-Pooh”)」を挙げる人が多いのではないでしょうか?ディズニーキャラクターのイメージが強いかもしれませんが、オリジナルはここイギリスです。機関車トーマス同様、お父さんが子どもに話して聞かせた寝物語がそもそものはじまり。作家のA.A.ミルンが、息子のクリストファー・ロビンに聞かせたお話を、物語に起こし発表したものです。100エーカーの森に住むクマのプーさんとその仲間たちが、大親友の人間の男の子クリストファー・ロビンと繰り広げるお話は、ほっこりと心温まるエピソードでいっぱい。個性溢れるキャラクターに心惹かれるのはもちろんですが、豊かな創造力でちょっとしたことが大冒険になったり、大人になって忘れがちな子どもならではの視線に私たち大人がハッとさせられたりするのも大きな魅力の一つと言えるでしょう。

そんなキャラクター達の素朴な会話の中には、名言がたくさんあります。今日はその中から、イギリスの幼児教育で大切とされている理念を含む「セリフ」をご紹介したいと思います。

A hug is always the right size.
— Winnie-the-Pooh

まずはプーさんのこのセリフ。マイペースで食いしん坊のプーさんは、とっても仲間想いでもあります。「ハグはいつもちょうどいいサイズ」、言い換えれば、「いつだってハグは大切なんだ」ってこと。愛着形成理論のボウルビーもスキンシップは乳幼児期の子どもの発達に欠かせないものだと言っています。それに、「ハグ」は何も子どもたちだけに必要なのではなく、大人だって誰にだってとても大切なものだという事は実証されていますね。体の接触は失礼にあたるという文化背景がある日本人にとって、「ハグ」はハードルが高く感じる人もいるかもしれませんが、プーさんに倣って「ハグ」であなたの大切な人に愛情表現してみてはいかがでしょうか?

Winnie-the-Pooh and Piglet, illustration by E.H. Shepard.

The most wonderful thing about Tiggers is, I’m the only one.
— Tigger
The things that make me different are the things that make me, me.
— Piglet

最初のセリフは、破天荒でお騒がせなトラ・ティガーの自己紹介の一部です。「ティガーの最も素晴らしいところは、オンリーワンってところ!」といいながら、バネのしっぽでピョンピョン飛び跳ねます。
次のセリフは、臆病なコブタ・ピグレットで、「周りと比べて違うところ、それが自分らしさなんだ、まさにそこが自分なんだよ。」というもの。
これは個性や個々の興味を大切にして成長を促す「ユニークチャイルド」の理念、「みんなちがっていいんだ」を主張しています。自分を見つめ認めることは、自己を確立する上で基本となる部分です。

I am short, fat, and proud of that.
— Winnie-the-Pooh

「僕はチビでおデブ、そしてそれが自慢なんだ。」もうこの自己肯定力は立派!是非とも見習いたいものです。また、英語で声に出して読むと、なんとも軽快なリズムで思わず笑顔になってしまいます。

いかがでしたか?このように、今の世の中でも人が生きて成長していく上で大切な事・忘れてはならない事を、1920年代の童話のキャラクターたちのセリフから見て取れるのは興味深いですね。この他にも名言はたくさんありますので、また別の機会にご紹介できればなと思っています。

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